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コロナ禍を経て働きやすくなった、という人が約半数いることがニュースになっていました。
参照記事:https://www.sankei.com/pressrelease/prtimes/MOJ6PRNDKRNZBPCIGYGRS2FXO4/
調査を見ると、働きやすくなったという人も、そうじゃない人にとっても、働き方の変化、特にリモートワークしやすいこと、働く時間が柔軟であることは、働く上の要素として大きいことがわかります。
つまり仕事にもよりますが、オフィスワークをする人にとっては「リモートワークがしやすいか、働く時間に柔軟性があるか」は満足度を決める最低条件のようなものになった、ということではないかと考えられます。
一方で、働きやすさだけで考えてしまうのも、違うのではないかと思います。
例えば、Gallop社が出している調査では、日本人で仕事や今の職場にエンゲージメントを持ってる人は5%しかおらず、調査した国の中でも最も低いです。この傾向はずっと続いており、ある意味でコロナ禍の前後でも変化はないし、働きやすくなった会社が増えたとしても、影響がありません。
これはどうすれば、社員が今の仕事や職場に対して熱意を持ち、自分ごとと捉えて働けるようになるのかを真剣に考えないといけない、ということです。
それを変える際にポイントとなるのは、「言っても無駄」と「いても無駄」をどうなくすか、です。これは先日のPIVOTさんのYoutubeでも話題になったキーワードです。
参照動画:https://www.youtube.com/watch?v=dhe3BeGR-Vo
「言っても無駄」は、言葉の通りですが、何かを進言しても「今までそうやってきたから」とか「そういう決まりだから」とあまり考えず、現状維持を望んでしまう時に起こります。
熱意を持った当事者意識がある人ほど、課題を見つけるものだし、それをなんとかしたいと思うものです。しかし、それを進言しても誰も取り合ってくれない状態が続けば熱意がなくなり、諦めてしまうのも当然です。だからこそ「今までがどうか」よりも「言っている意見が正しいか、的を得ているか」という観点で1つ1つに丁寧に向き合う姿勢がより重要になります。
もう1つの「いても無駄」というのは、その会社にいてもこれ以上成長が見込めないとか、何かを得ることはないと感じてしまう状態です。
つまり働きやすいかもしれないが、自分のスキルを上げたり、知識を身に付けたりなどがない状態です。つまり会社として働きやすさは保ちながら、社員が仕事の中で質的な水準を上げていける環境にしないといけないということです。
今までハードワークというとたくさんの量を働くということだったが、今はそれは違います。それ以上に、質的なハードワークをどう求めていけるか、それを提供できる会社や事業を作らないといけない、ということになります。
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※この記事は、2023年7月時点の情報をもとに執筆しております。
石倉 秀明HIDEAKI ISHIKURA
働き方に関する調査・分析・研究を行うAlternative Work Lab所長。慶應義塾大学大学院政策メディア研究科修士課程在籍。『Live News α』(フジテレビ系列)、『ABEMAヒルズ』(ABEMA)コメンテーターや『ダイヤモンド・オンライン』での連載、書籍執筆などの活動も行う。著書に『会社には行かない』『コミュ力なんていらない』『THE FORMAT』等。