コロナ禍でリモートワークを経験した人は一気に増えましたが、リモートワークとオフィス出社では仕事や生活にどんな違いが生まれるのでしょうか。
『Alternative Work』を運営する株式会社キャスターでは、創業の2014年よりフルリモートワークを導入しています。今回は、キャスター社内で実施したアンケート調査の結果を「リモートワークによって解消されたお悩みランキング」という形でご紹介します。
「リモートワークによって解消されたお悩みランキング」TOP3
まずは、気になる結果から発表します。
「リモートワークによって解消・軽減された悩みをいろいろ教えてください」(複数回答可)という質問に対して、このようなランキング結果が出ました。
1位 73.5% 天候による影響(服装・持ち物・出発時間など)
2位 63.9% メイクや服装(身だしなみへの出費や準備時間)
3位 56.5% 交通の遅延(遅延による遅刻や早め出社)
4位 49.3% 洗濯物の取り込み(急な雨でも取り込める)
5位 47.5% 宅配便の受け取り(不在対応や宅配ボックスの有無の心配がない)
6位 44.0% マスク着用(マスクによる息苦しさやストレス)
6位 44.0% ランチ代の出費
8位 41.9% 生理痛(耐えながらの通勤・オフィス出社)
9位 37.4% 急な欠勤(子どもが風邪を引いた時などでも業務の対応範囲が広がる)
10位 34.2% 飲み会への参加
11位 30.5% お土産の購入(旅行時・帰省時など)
12位 29.7% 付き合い残業(同僚・上司が帰らないことでの退勤のしづらさ)
13位 28.9% オフィスのノイズ(タイピング音・電話・咳・話し声など)
14位 28.6% 子どもの送り迎え(通勤時間が不要なため対応しやすい)
15位 27.1% 持病や健康症状(症状が出ることへの不安や影響)
16位 26.8% バレンタイン・ホワイトデーの準備
17位 25.2% 上司・同僚とのランチ
18位 24.1% 上司・同僚の愚痴を聞くこと
19位 17.8% 花粉症やオフィスのハウスダスト
20位 16.7% お菓子の差し入れ
TOP3は「天候による影響(73.5%)」「メイクや服装(63.9%)」「交通の遅延(56.5%)」という結果に。いずれも、オフィスへの通勤前・通勤時に関連する内容です。
1位:天候による影響(服装・持ち物・出発時間など)(73.5%)
最も回答数が多かったのは、「天候による影響」でした。通勤時には服装や持ち物、出発時間などを気にする必要があり、天候によっては対応や変更を余儀なくされます。しかし、リモートワークなら通勤が不要なため天候による影響を受けません。キャスター社のメンバーは全国各地に居住しており、雪国に住むメンバーからは「雪道での車通勤がなくなって安心」などのコメントも寄せられました。
2位:メイクや服装(身だしなみへの出費や準備時間)(63.9%)
2位は「メイクや服装」でした。6割以上が、オフィス出社時よりも身だしなみに関わる準備や出費の悩みが解消・軽減されたと回答しています。リモートワークなら身だしなみを整えなくていいというわけではありませんが、スーツやヒールなどのフォーマルな服装やメイクをする必要が減ったと言えるでしょう。
3位:交通の遅延(遅延による遅刻や早め出社)(56.5%)
「交通の遅延」が3位にランクイン。オフィスワークでは、交通機関の遅延があった場合を想定して早めに出社していた人も多いでしょう。リモートワークでは通勤が不要なため、早めの出社や遅延による遅刻の心配はなくなります。
4~10位 日常から職場での悩みまで多種多様
続いて、4~10位を詳しく見ていきます。
4位:洗濯物の取り込み(急な雨でも取り込める)(49.3%)
4位は「洗濯物の取り込み」という少し意外とも思える結果に。オフィス勤務をしている人は、洗濯物を干してから出社したけれど、雨が降って帰った時には洗濯物が濡れていたという経験をしたことがある方もいるかもしれません。自宅でリモートワークをしている場合は、急な雨が降ってもすぐに取り込めるため、たしかにこの悩みは解消されます。
5位:宅配便の受け取り(不在対応や宅配ボックスの有無の心配がない)(47.5%)
4位に続き、5位の「宅配便の受け取り」も自宅でのちょっとした悩みが解消された例です。オフィスで勤務していると、平日の日中や宅配ボックスに空きがない際、宅配便を受け取れないことも。届いた不在票を見て、再配達を依頼するのが面倒だなと感じたことがある方も多いのではないでしょうか。リモートワークでは自宅にいることが多いので、宅配便を受け取れないケースは少なくなります。
6位:マスク着用(マスクによる息苦しさやストレス)(44.0%)
マスク着用になんらかの問題やストレスを感じる人が44%いることが分かりました。
コロナ禍ではオフィス内でのマスク着用が求められていましたが、人によっては息苦しさやストレスを感じることがあります。しかし、自宅であればマスクをする必要はありません。
6位:ランチ代の出費(44.0%)
同率の6位にランクインしたのは「ランチ代の出費」。オフィスで働く場合、ランチは外食が多くなりがちですが、リモートワークでは自炊をしたり、残り物のご飯で済ませることも可能です。結果的にランチ代の節約になっている人が44%いることが分かりました。
8位:生理痛(耐えながらの通勤・オフィス出社)(41.9%)
8位は女性ならではの「生理痛」の悩み。痛みを我慢しながらの満員電車や通勤は辛いものです。リモートワークであれば、適宜体を温めたり休憩時間に少し横になったりすることもできます。
9位:急な欠勤(子どもが風邪を引いた時などでも業務の対応範囲が広がる)( 37.4% )
たとえば、子どもが風邪を引いた時などやむを得ず急な欠勤になってしまった時も、リモートワークであれば「重要な会議だけは出席する」「急ぎのメールは返信する」など、対応できる範囲が広がります。
10位:飲み会への参加(34.2% )
人によっては、仕事関係の飲み会にストレスを感じる場合もあります。実際に、34.2%の人が会社での飲み会をストレスに感じていたことが分かりました。キャスター社はフルリモートワークのため、会社主催の飲み会は行われません。
11~20位 職場でのコミュニケーション関連が半分以上
11~20位もさまざまなお悩みの解消・軽減が見られましたが、特に職場でのコミュニケーション関連の悩みが目立ちました。
11位:お土産の購入(旅行時・帰省時など)(30.5%)
休暇をとって旅行や帰省した際、職場の人への気遣いとしてお土産を買う人もいるでしょう。しかし、毎回のこととなると「何を買うか」「誰に買うか」「いくらのものを買うか」など、だんだんプレッシャーに感じてしまうかもしれません。フルリモートワークでは、そもそも会社のメンバーに直接会う機会がないため、お土産を購入する必要がありません。
12位:付き合い残業(同僚・上司が帰らないことでの退勤のしづらさ)(29.7%)
同僚や上司が帰らないことでの退勤のしづらさから起こる「付き合い残業」が12位となりました。リモートワークでは働く人の姿が視覚的には見えないので、オフィス勤務に比べると周りの目が気にならないことが退勤のしやすさに繋がっているのかもしれません。
13位:オフィスのノイズ(タイピング音・電話・咳・話し声など)(28.9% )
約3割が、オフィスで聞こえてくるノイズにストレスを感じていたことが分かりました。タイピング音や電話の音、咳や話し声などにより、仕事に集中できないという声が挙がっています。
14位 :子どもの送り迎え(通勤時間が不要なため対応しやすい)(28.6%)
通勤のないリモートワークでは、子どもの送り迎えなどに対応しやすくなったという回答も。これまで通勤時間に充てていた時間は、家事や趣味、家族との時間、勉強などさまざまな時間に活用できます。
15位:持病や健康症状(症状が出ることへの不安や影響)(27.1%)
リモートワークにより、持病や健康症状に不安や影響がある人の悩みが解消・軽減されていることが分かりました。たとえば、満員電車で体調を崩しやすい、慢性的な咳が出てしまい周りの目が気になるなどの例が挙がりました。
16位:バレンタイン・ホワイトデーの準備(26.8%)
16位は、11位の「お土産の購入」と少し似ている職場の人への「バレンタイン・ホワイトデーの準備」。もちろん強制ではないでしょうが、毎年用意しているという人もいるでしょう。リモートワークではメンバーと直接会うことがないので、バレンタイン・ホワイトデーに限らず、メンバーの誕生日や結婚・出産などのイベントごとでのプレゼントに悩むことは少なくなります。
17位:上司・同僚とのランチ(25.2%)
17位は、10位の「飲み会への参加」と似た飲食によるコミュニケーション「上司・同僚とのランチ」。会社で主催されるもの以外にも、オフィス出社の場合、日常的なランチで「誰と食べるか」「誘われたら断りづらい」「お店選びが大変」などが悩みに繋がることもあるようです。
18位:上司・同僚の愚痴を聞くこと(24.1%)
上司・同僚の愚痴を聞かなければならないストレスから解放されたという人も。リモートワークでは雑談もテキストで残ることが多いので、愚痴を言う人も聞く人も自然と減ることが考えられます。
19位:花粉症やオフィスのハウスダスト(17.8%)
通勤中の花粉症や、オフィス内のハウスダストの悩みが解消・軽減されたという回答もありました。これ以外にも、たとえば冷暖房の調節など、リモートワークでは自身の快適な環境を作りやすいと言えるでしょう。
20位:お菓子の差し入れ(16.7%)
最後は、11位の「お土産の購入」の反対ともとれる「お菓子の差し入れ」。渡す側だけでなく、もらう側にも「食べたくなくても断りづらい」「お返しに悩む」などの悩みが生まれていることが分かりました。
以上が「リモートワークによって解消されたお悩みランキング」TOP20でした。さまざまな悩みが挙がりましたが、特に「通勤関連」「日常生活の向上」「職場でのコミュニケーション」のカテゴリーに分けられるものが多く、リモートワークはそれらを解消・軽減する手段の1つであると言えます。
それほど大きな悩みとは感じていなかった「当たり前に思っていたこと」も、出社からリモートワークに変わるだけで「そもそも考えなくてよくなった」というのは、ある意味では発見かもしれません。
3月13日からはマスク着用が自由化され、コロナ明けを感じさせる雰囲気が漂っています。今後、企業のリモートワークへの取り組みはどう変わっていくのか──働き手の希望や需要を加味した動きが注目されます。
キャスター社の「リモートワークに関する意識調査」の詳細結果は以下のリンクをご覧ください。
https://caster.co.jp/31439
<調査概要>
調査名 :リモートワークに関する意識調査
調査対象 :キャスターで働く国内外のメンバー(業務委託を含む)
調査時期 :2022年12月14日〜12月26日
調査方法 :インターネット調査Webアンケート
有効回答数 :377名
編集部EDITORIAL
Alternative Work編集部が働き方にまつわるトピックをお届けします。