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睡眠不足大国・日本における「眠りの最新事情」|睡眠の量・質はビジネスにも影響

2024/03/14 Thursday
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2024年3月15日(金)は、世界睡眠医学協会が定めた「世界睡眠デー」です。みなさんは多忙な毎日、しっかり寝られていますか? 日本人の睡眠時間は他国と比べて短いことが知られています。睡眠不足の毎日で、じわじわと蓄積していく「睡眠負債」をなんとか乗り越えたい。この記事では、眠りの最新事情についてお届けします。

日本の睡眠時間は、33カ国でいちばん短い

世界の中でもとくに短い、日本人の睡眠時間。経済協力開発機構(OECD)の調査によると、日本人の平均睡眠時間は7時間22分で、33カ国の中で最も短い「睡眠不足大国」です。ワースト2の韓国(7時間51分)に30分程度差をつけられ、アメリカ(8時間51分)とは90分近くの大差がある状況です。

慢性的な睡眠不足は、昼間の眠気や疲労のほかにも、いろいろなデメリットにつながります。例えば意欲の低下、自律神経の崩れ、肥満や高血圧といった生活習慣病に罹患する可能性の増加やうつ病などメンタルダウンの再燃リスクの増加など。「睡眠負債」による日本の経済損失はなんと15兆円(対GDP比2.92%)ともいわれていて、社会問題になっています。

この点、逆に考えると、睡眠不足の改善ができればビジネスにも良い兆しが見えるかも。実際、⼭本勲教授(慶應義塾⼤学)の研究※では、睡眠時間の長さや質の高さが企業の利益率を高めるという事実が明らかになりました。忙しい中でいかに睡眠の質と量を確保するか、また企業が従業員の睡眠をサポートするかによって、ビジネスの成果にも差が出ることが証明されています。
※出典:「従業員の睡眠と企業の関係性〜健康経営とウェルビーイングの追求〜」2022年5⽉26⽇ ⼭本勲 慶應義塾⼤学商学部

4年で市場規模が約3倍!「睡眠の質」を上げるビジネスが大盛り上がり

こうした事情を背景に、睡眠時間を長く確保するのが難しいビジネスパーソンに向けて、睡眠の質を上げるビジネスが急成長しています。質のいい枕や布団をはじめ、睡眠をサポートする食品やサプリメント、深い眠りへといざなうリラクゼーション雑貨やアロマ、睡眠の状況を可視化するウェアラブルデバイスやスマホアプリなど、その商材は多岐にわたります。

なかでもとくに注目を集めているのは、「スリープテック」と呼ばれる、テクノロジーやIoT機器、AI技術を使った商品です。睡眠時の呼吸やいびき、体温、心拍数、寝返りの回数などのデータを取ってスコアリングし、睡眠の質を評価したり、改善に向けてアドバイスをしたりするサービスが典型的です。

アプリ単独で使うものもあれば、ウェアラブルデバイスと連携するものもあり、値段もさまざまです。なお矢野経済研究所によると、スリープテックの市場規模は2022年時点で60億円だったのが、2026年には175億円へと約3倍に伸びる予測がされています。睡眠にまつわるニーズの高まりを受け、一大市場を築いていることがわかります。

「睡眠の量」を増やすためにできることと注意点

睡眠の質を上げつつ、やはり睡眠量もできるだけ確保したいというのが本当のところ。毎日目まぐるしい日々を過ごしているビジネスパーソンはどのように睡眠量を増やせばよいのでしょうか。

土日の寝だめは逆効果…「ソーシャル・ジェットラグ」の悪影響

「休日は目覚まし時計をかけずに好きなだけ寝たい」という声もよく聞かれるように、休みの日に日頃の睡眠不足を挽回しようとする人が多くいますが、この一見ささいな体内リズムのズレには、実は大きな落とし穴が潜んでいます。

週末にたっぷり寝だめしてスッキリしたように感じても、実はかえって疲れやすい状態になっているーー。それが、2006年ごろから提唱されている「ソーシャル・ジェットラグ」(社会的時差ぼけ)という概念です。ずっと同じ日本にいるのに、まるで時差ぼけをしているかのように頭がもうろうとして、日中眠くなったり、夜寝つけなくなったりするという現象。心当たりがある人も多いのではないでしょうか。

ソーシャル・ジェットラグの弊害は数日にわたり、土日の生活リズムのズレは翌週の前半まで続くとされています。さらに、ソーシャル・ジェットラグが大きい人ほど生活習慣病や肥満のリスクが高く、抑うつ傾向も強まると指摘されています。平日のパフォーマンスが下がってしまうだけでなく、身体と心の両面に悪影響が出てしまうのです。

仮眠できる環境を整え、睡眠をサポートする企業も

業務量を変えずに睡眠時間を増やすのは難しいし、個人でできることは限られているため、「仮眠できる環境」を整えて従業員をサポートする企業もあります。例えば三菱地所は、2018年の本社移転をきっかけに、仮眠室で30分まで仮眠できる「パワーナップ制度」を導入しました。リクライニングチェアで短い昼寝を取ることで、パフォーマンスを向上する狙いです。実験に参加した社員の3分の2が仮眠によって生産性が向上したと回答したそうです。

またGMOインターネットは、会議室に昼寝スペース「GMO Siesta」をつくり、昼休みに30分まで仮眠を取れる制度を創設。アイマスクや耳栓などの小物も準備されているそうで、気軽に参加できそうです。

「昼寝をするのはサボり」、そんな価値観はいまや昔。従業員により良いパフォーマンスを発揮してもらうために企業側から睡眠不足を改善する動きが出てきていることがわかります。

睡眠量の確保以外にも多大なメリットを得られるアウトソーシング

睡眠量を増やすために企業としても個人としても有力な選択肢となるのが、「業務のアウトソーシング」です。とくに、事務や人事・採用、経理、秘書などのバックオフィス業務やセールスマーケティング業務は、アウトソーシングととても相性がいいといわれます。

既存の業務を切り出し、各分野のプロフェッショナルに任せることで、自社が抱え込む業務量を減らし、従業員の可処分時間を増やすことができます。さらにプロのノウハウを取り入れることで、中長期的な視点でのアイデアが生まれたり、仕事の進め方を変えて生産性が向上したりと、さまざまなメリットが考えられるでしょう。

ニーズが多いだけあって、すでに数多くのアウトソーシングサービスがローンチされています。日常業務に関するものから特定の業界に特化したものまで幅広くあるので、自社の業務内容や予算、カルチャーに合ったサービスを選ぶことができるのも、経営者やマネージャーにとって大きな魅力です。

Alternative Workを運営する株式会社キャスターでもさまざま領域のアウトソーシングサービスがありますが、なかでも My Assistant(マイアシスタント) では、請求書の発行や資料作成などの業務を月額2.5万円〜お気軽にご利用いただけます。睡眠不足の改善以外にも多くのメリットのあるアウトソーシング。ぜひご相談ください。

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さくら もえMOE SAKURA

出版社の広告ディレクターとして働きながら、パラレルキャリアとしてWeb媒体の編集・記事のライティングを手掛ける。主なテーマは「働き方、キャリア、ライフスタイル、ジェンダー」。趣味はJリーグ観戦と美術館めぐり。仙台の街と人、「男はつらいよ」シリーズが大好き。ずんだもちときりたんぽをこよなく愛する。