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「出社+リモート」企業は注意!ハイブリッドワークの落とし穴とは?

2022/11/22 Tuesday
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オフィス出社とリモートワークを組み合わせた「ハイブリッドワーク」という働き方。

フルリモートワークへの段階的な手段として導入する企業もあれば、オフィス出社に特定の目的を見出して取り入れている企業もあるでしょう。

しかし、実はハイブリッドワークの運用には落とし穴があるのをご存じでしょうか。
本記事では、ハイブリッドワークで絶対にやってはいけない3つのことをご紹介します。

実は注意が必要!出社+リモートの「ハイブリッドワーク」

2020年のコロナ禍以降、多くの会社が「オフィスで働き続けるか」、それとも「リモートワークを導入するか」の選択を迫られました。

なかでも注目され、これから主流になっていきそうなのが「ハイブリッドワーク」です。ハイブリッドワークは新しい定義ですが、一般的にはオフィス出社とリモートワークを併用する働き方を指します。

読者の皆さん自身や周囲でも、ハイブリッドワークをしている人は増えているのではないでしょうか。リモートワークと出社の比率は各社さまざまですが、個人的には週3,4日程度はリモートワーク、残りは出社くらいのバランスが多い印象です。

基本的な業務はリモートワークで進めながら、週1,2日はオフィスで顔を合わせ、雑談を含めたコミュニケーション量を担保したり、ランチやお茶を楽しんだりして懇親を図る──そんな働き方がちょうど良いバランスだと思っている方も少なくないかもしれません。

しかし、ハイブリッドワークは新しい働き方だからこそ、実は気をつけないといけないことや課題も存在します。

今回はフルリモートワーク歴9年目の株式会社キャスターだからこそ感じる、「企業がハイブリッドワークを取り入れる際に絶対にやってはいけないこと」を3つご紹介します。

1. オフィス出社日にミーティングが集中する

ハイブリッドワークにしたものの、うまく活用できていない会社で多いのが「オフィス出社日にミーティングが集中する」という事象です。

特に「毎週X曜日に出社」などと決まっている場合、「せっかく会うから、そのタイミングで会議をして話そう」となってしまいがちです。そんな考えが重なると、せっかくオフィスに出社したにも関わらず、ほぼ会議だけで1日が埋まってしまいます。

会議はリモートワークでもできるので、これではオフィスに出社した意味がありませんし、会議だけのために出社する日が続くと社員からしても「なんで出社しているんだろう」と思ってしまう原因にもなります。

また、出社日に合わせて会議を設定するようになると、スピードが落ちることにも繋がります。

もしかしたら、リモートワークで働いている日にその場で15分だけ話せば解決したかもしれません。それにも関わらず、「せっかく出社するからその日に話そう」と後ろ倒しにしてしまうことで意思決定のスピードは落ちてしまいます。

フルリモートワークにせず出社を組み合わせているのは、「会議をしたいから」ではないでしょう。リアルに顔を合わせることで「交流する」「仕事以外の話をする」「一緒に食事へ行く」など別の目的があるはずですから、出社すること自体が目的にならないようにするべきです。

2.オフィス出社した人にしか伝わらない情報がある

最もやってはいけないのは、オフィスに出社した人にしか伝わらない情報が生まれてしまうことです。

オンライン会議に入ったら、自分だけがリモートで他の人は皆同じ会議室にいて、なんだか会議がしづらいと感じたことがある人は少なくないでしょう。

その会議中に、画面の向こうで数名がなんだかコソコソ喋っているけどこちらには聞こえないような場面が多ければ、「自分に必要な情報が届いていないのではないか」と疑心暗鬼を生む要因になります。

また、意識していなくても、人が集まるとそこで会話が生まれ、情報が発生します。
チャットで会話が行われていれば参加している全員が情報を見ることができますが、対面で会っている時の話はその場にいない人には分かりません。もちろん、議事録などで後から共有することはできますが、議事録に残っていない結論に至るまでの議論の流れや文脈などは抜け落ちやすくなります。

つまり、無意識に「情報格差」が生まれてしまい、意図せずとも「出社 > リモート」の構図が生まれてしまうのです。

これはリモートワークが機能しなくなる自滅パターンです。ハイブリッドワークの場合、1人でもその場にいない人がいるなら、意識的に「その場にいない人も参加しやすいコミュニケーションをとる」ことが必須です。

具体的に言えば、出社してオフィスに人が集まったとしても、情報に関してはオンライン上に集めるようにすることをオススメします。

3. 役職の高い人がいつも出社している

2に似ていますが、社長をはじめ経営幹部や上司がいつもオフィスに出社していると、リモートワークをするよりも出社する方にメリットが生まれてしまいます。何か相談したい時や決済を取りたい時に、出社した方がやりやすくなるからです。

そうなると、オフィスへの出社頻度の高い人の方が仕事もしやすく、かつ情報も抱えやすいという構図になってしまい、リモートワーク中心で出社頻度が少ない人や、家庭の事情などであまり出社できない人は構造的に不利になってしまいます。

つまり、どこで働いてもパフォーマンスを出せる組織とは程遠く、結局オフィスに高い頻度で行かないとパフォーマンスが出ない組織になってしまうのです。

そのような組織では、結果的に採用の可能性も狭めますし、副業やフリーランスの方も参画しやすいというリモートワークのメリットも享受しにくくなります。

いくら口で「オフィス出社は任意でいい」と言っても、部下には上司の仕事のやり方やコミュニケーションの仕方に合わせなければいけない力学が働きます。だからこそ、ハイブリッドワークを推進したいのであれば、上司や管理職に就いている人こそハイブリッドを体現することがポイントになってくるでしょう。

出社とリモートワークを手軽に組み合わせられると思われがちなハイブリッドワークですが、実は完全なリモートワークにするよりも意識すべきポイントが増え、運用が難しい部分も出てきます。

ハイブリッドワークを導入する際には、ぜひ今回の3つのことを意識して取り組んでみてください。

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石倉 秀明HIDEAKI ISHIKURA

働き方に関する調査・分析・研究を行うAlternative Work Lab所長。慶應義塾大学大学院政策メディア研究科修士課程在籍。『Live News α』(フジテレビ系列)、『ABEMAヒルズ』(ABEMA)コメンテーターや『ダイヤモンド・オンライン』での連載、書籍執筆などの活動も行う。著書に『会社には行かない』『コミュ力なんていらない』『THE FORMAT』等。