この記事では、AI論文検索サービスConsensusについて紹介します。
※2023年7月時点の情報です。
\AIサービスに興味がある方はチェック/
Consensusとは
Consensusとは、公開されている科学研究に関する学術論文から、ユーザーが必要とする情報を抽出し、結果を要約・集計するAI搭載の検索サービスです。
情報ソースは科学に関するあらゆる分野の2億件を超える学術論文で、データセットは毎月更新されています。参照する学術論文に関しては、権威ある研究者により評価・修正を経たもの(査読付き)のみであり、一般的な検索エンジンよりも正確な情報を取得できます。
企業・専門機関の研究者や大学生で、自身の研究に対する関連論文を素早く検索したい人に大変おすすめのサービスです。
Consensusの料金プランは?
Consensusでの学術論文検索は、無料で回数制限なく利用できます。ただしフリープランでは、論文を要約する機能(Summary)と結果を集計する機能(Consensus Meter)は月3回までに制限されています。
有料プランの場合、GTP-4を使った要約機能や結果の集計機能が無制限で利用でき、さらに今後多くの機能が追加される予定です。
有料プランは2種類あり、プレミアムプランは月単位での契約より年契約の方がお得に使うことができます。
Free(無料) | $0/月 | ・無制限の検索 ・無制限の研究品質指標 ・Summary:3回/月 ・Consensus Meter:3回/月 |
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Premium(プレミアム) |
$7.99/月(年契約) $9.99/月(月契約) |
・Freeプランの全ての機能 ・Summary:無制限 ・Consensus Meter:無制限 ・ブックマーク(近日公開) ・さらに多くの機能が追加予定 |
Enterprise(企業) | 価格相談 | ・Premiumの全ての機能 ・組織アカウントの管理 ・情報共有機能 ・研究ライブラリとの統合機能 ・さらに多くの機能が追加予定 |
Consensusは日本語でできる?
Consensusは日本語には原則対応しておらず、英語のみとなります。
検索窓に日本語入力することも可能ですが、検索結果に不適切な論文が抽出されたり、要約・集計機能が使えなかったりと支障が出ます。
日本語をDeepLなどの翻訳サイトで英訳してから、Consensusを利用するのがおすすめです。
Consensusを使ってみた
クレジットカード登録なしでサインアップ
Consensusは、無料で回数制限なく学術論文検索が可能で、サインアップにはカード情報入力は不要です。
まず以下のURLでConsensusのサイトにアクセスし、右上の「Sign Up」ボタンをクリックします。
Consensusサイト:https://consensus.app/
次にアカウント登録です。氏名とメールアドレスおよびパスワードを設定してサインアップするか、FacebookアカウントかGoogleアカウントを連携してログインする仕組みです。
今回はGoogleアカウントでログインしました。
論文検索のポイント
Consensusにログインして表示される画面の下に、検索方法「How to search?」が解説されています。Consensusでの論文検索のポイントは以下の3点なので、これらを理解して検索するとより有効な結果が返ってくるでしょう。
- 物事の関係について質問すること(例:お尻を叩くことは小児期の発達に影響を与えますか?)
- 簡単な「はい/いいえ」で答えられる質問をすること(例:亜鉛のサプリメントでうつ病を治療できますか?)
- 物事の効果について質問すること(例:感謝の習慣を身につけるとどんな効果がありますか?)
論文を検索
では実際に論文を検索してみましょう。
今回は「Are marathons good for human health?」(マラソンは人間の健康に良いですか?)について検索しました。検索窓に英語で質問文を入力し、Enterキーを押します。
数秒で以下のような検索結果が表示されます。
質問に関連する部分が各論文から抽出され、太字で表示されています。その下には論文のタイトルや著者が明示され、赤の下線部分には各論文の評価が示される仕組みです。
評価については、以下のような種類があります。
- 「Rigorous Journal」厳格な研究
- 「Highly Cited」多く引用されている
- 「Very Rigorous Journal」非常に厳格な研究
- 「Case Report」症例報告
- 評価なし
さらに論文の検索結果を表示したい場合は、「Load More」をクリックします。
また、特定の年代の論文のみから結果を得たい場合は、画面右上の「All years」をクリックし、プルダウンからいつの論文を検索したいか指定してください。
各論文の詳細確認
表示された各論文をクリックすると、記事の概要を確認することができます。
また、オリジナルの論文を参照したい場合は、タイトル下の「Full text」をクリックしましょう。
論文の全文をテキストデータで確認することができます。
さらに、論文の原文を確認したいときは、「View PDF」をクリックしてください。
論文が公開されているオリジナルページのPDFを確認することが可能です。
要約・集計機能の活用
Consensusの大きな特徴である、論文を要約する機能(Summary)と結果を集計する機能(Consensus Meter)を使ってみましょう。検索結果の左上の「Synthesize」スライドスイッチをオンにします。なお、無料プランの場合、これらの機能は月3回まで利用できます。
「Synthesize」スライドスイッチをオンにしたところ、エラーが発生する場合があります。
今回検索した、「Are marathons good for human health?」(マラソンは人間の健康に良いですか?)でもエラーが発生しました。
関連する論文の数が十分ではなく、「XはYの原因ですか?という形式で質問してください」とのアドバイスが表示されます。
例として「Does beta alanine improve exercise performance?」(ベータアラニンは運動パフォーマンスを向上させますか?)とあったので、この質問を使って以後の解説を進めます。
再度、検索窓に英語で質問文を入力し、Enterキーを押します。
数秒で論文がピックアップされました。
続いて、「Synthesize」スライドスイッチをオンにします。今回は問題なくスライドスイッチをオンにすることができ、要約・集計機能が活用できる回数が表示されます。今回は無料プランでの試行なので、残り回数は3回です。
では「Use Credits」をクリックしましょう。
こちらも数秒で、要約と集計結果が表示されました。
「Summary」では、検索上位10件の論文から分析された結果が要約されています。内容を和訳すると以下の通りです。
「これらの研究は、ベータアラニンの補給が一般に、短期間の高強度の運動における運動パフォーマンス、筋持久力、無酸素運動のパフォーマンスを向上させることを示唆していますが、最大値を超える強度でのスプリント持久力には有意な結果を示さない研究もあります。」
上記だけでは、結果が「Yes」なのか「No」なのかわかりにくいです。
ここで効果を発揮するのが、「Consensus Meter」。
15件の論文を分析した結果が以下の通りパーセンテージで表示され、論文全体の傾向が理解できます。
- Yes(はい):67%
- Possibly(おそらく):13%
- No(いいえ):20%
パーセンテージで表示される結果は明確で、質問に対する結果の方向性がすぐにわかるため、これを見た後に要約や論文の詳細を読む方が理解もしやすくなるでしょう。
以上、Consensusの紹介でした。
これまで、論文の検索に関しては、図書館で調べるかGoogleなどの検索エンジンで一つずつ記事を探すなどしか方法がなく、かなりの労力がかかっていました。
Consensusは、専門家により査読された大量の論文データセットからユーザーに適した情報を抽出できるだけではなく、論文を要約する機能(Summary)と結果を集計する機能(Consensus Meter)を使って、抽出した情報の概要や方向性を一瞬で把握することが可能です。
科学に関する特別な知識がなくても気軽に信頼性の高い論文にアクセスできるので、研究者だけではなく、学生や一般的なビジネスパーソンなどにもぜひ試してみていただきたいサービスです。
山咲 かもめKAMOME YAMASAKI
企業内起業家、兼ライター。建築・金融・不動産業界にて15年働いた経験を活かし、企業の新規事業開発やマーケティングをサポート。休日はフォトグラファーとしても活動中。2020年に個人で不動産投資を開始、将来の夢はメガ大家さんになること。