企業の経営に欠かせない「経理業務」。その経理業務を効率化するのが「クラウド会計ソフト」です。
この記事では「どのクラウド会計ソフトを選べばよいか分からない…」と悩む人のために、おすすめのクラウド会計ソフトを解説します。
解説してくれるのは、『Alternative Work』を運営する株式会社キャスターで、過去数百社のクライアント企業の経理業務の支援をしている『 CASTER BIZ accounting 』のマネージャー、宮川さんです。
これまで数々の企業のクラウド会計ソフトの導入支援をしてきた実体験をもとに話をしてもらいます。
おすすめのクラウド会計ソフト3つ
ーー クラウド会計ソフトのシェアは「弥生」「freee」「マネーフォワード」と順に高いようです。おすすめのクラウド会計ソフトもその3つでしょうか?
宮川さん:何を目的とするかによっておすすめの会計ソフトは変わりますが、私たちがよくおすすめするのは「freee」「マネーフォワード」「奉行クラウド」の3つです。
freeeの特徴
ーー freeeの特徴を教えていただけますか?
宮川さん:freeeはほとんどの銀行、クレジットカードと連携している点が特徴です。銀行やクレカと連携していると経理業務は大幅に削減できます。
また、経費精算や稟議などを「ワークフロー」という機能で申請できます。申請から会計までを一連の流れで管理できるので転記作業でのミス・モレが発生しづらく、非効率な作業が削減できる点も便利です。
freeeは外部ツールとの連携も豊富です。
例えば「freee for Salesforce」という連携アプリを提供しており、連携したSalesforce上のデータから見積書や請求書を作成したり、入金データをSalesforceから確認したりできます。
他にもKintone、Airレジ、BASE、Shopifyなど、さまざまなアプリが提供されています。連携サービス数が多いのはfreeeの大きな特徴です。
※詳しくは「freeeアプリストア」をご覧ください。
マネーフォワードの特徴
ーー マネーフォワードの特徴を教えていただけますか?
宮川さん:マネーフォワードもfreeeと同様にほとんどの銀行・クレジットカードと連携しています。経費精算・稟議申請をワークフローからスムーズに管理できる点も同じように優れています。
freeeと異なる点は、freeeは1つのサービス内で機能が完結しますが、マネーフォワードは「マネーフォワード会計」や「マネーフォワード請求書」といったように機能が分かれている点です。
1つのサービス内で完結できるfreeeが優れているというわけではなく、マネーフォワードは機能が分かれているからこそ、権限管理が柔軟にできたり、誤ったデータを取り込まないといったメリットがあります。
freeeとマネーフォワードはサービス設計の思想が違っているように感じます。
奉行クラウドの特徴
ーー 奉行クラウドの特徴は何でしょう?
宮川さん:カスタマイズ性に優れていて、どんな業種業態でも対応できるという特徴があります。
会計に限らず、給与、税務、労務管理、固定資産管理などあらゆる機能をカスタマイズすることができるので「出来ないことがない」です。
奉行クラウドのカスタマイズ性の高さはfreeeにも勝っているのではないでしょうか?
また、レシートなどの証憑書類の取り込みから自動で仕訳作成といった業務もfreeeやマネーフォワードと同様に対応しています。
Excelファイルからの取り込みといった機能も優れているので、会計ソフトを使いこなせない老舗企業にも使われています。
奉行クラウドのネックは金額の高さだけですね。
弥生がおすすめでない理由
ーー 弥生がおすすめでない理由は何でしょうか?
宮川さん:紹介した3つのツールのほうが「経費精算や稟議申請などのワークフローから取引登録へのスムーズさ」が優れていて、業務が大きく効率化されると感じています。
弥生ならではのメリットもあります。弥生は無料期間が1年間〜2年間と長いので、起業したばかりでコスト最優先の場合は検討してみてもいいと思います。
最近は、連携している銀行口座やクレジットカードが増えてきたりと、サービスも改善されています。今後使いやすくなる可能性も高いでしょう。
上場(IPO)目指すときのクラウド会計ソフト
ーー 奉行クラウドがカスタマイズ性に優れているとのことでしたが、上場を目指す会社でもfreeeやマネーフォワードのクラウド会計ソフトは使えるのでしょうか?
宮川さん:freeeやマネーフォワードは上場に必要となる管理会計が可能な上位プランを提供しています。管理会計はもちろん、内部統制にも対応しています。
奉行クラウドも問題なく対応できます。奉行クラウドは上場企業での導入が多く、支持されています。
おすすめのクラウド会計ソフト3つの比較表
freee、マネーフォワード、奉行クラウドの3つについて、法人向けプランの機能と料金を比較表にまとめました。
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クラウド会計ソフトの選び方
ーー 会計ソフトを導入する際はどう選定するのがおすすめでしょうか?
宮川さん:まずはfreeeかマネーフォワードを検討するのがよいと思います。
会計機能だけの利用ならfreeeが安く、人事労務機能もつけるとマネーフォワードが安いです。ただし、さまざまなオプション機能があるため、状況によって金額は変わります。
IPOを目指す企業は、管理会計や内部統制が不可欠ですので、仕訳の承認、稟議のワークフローなどの機能が必要になります。すると、freeeの「プロフェッショナルプラン」か、マネーフォワードの「クラウド会計Plus」のプランが候補になるでしょう。
企業の業種や規模、会計ソフトの導入目的によっては、freeeやマネーフォワードでは対応できないことがあるので、そのときはカスタマイズ性に優れている奉行クラウドがおすすめです。
例えば、オリジナルの帳票の作成やさまざまなExcelフォーマットからの取り込みが優れています。値段はfreee、マネーフォワードよりも高いですが対応できる業務は多いです。
ーー 宮川さん、ありがとうございました。
以上、おすすめのクラウド会計サービスについてお聞きしました。
どのクラウド会計ソフトも日々機能が追加・改善されています。うまくツールを活用して業務を効率化していきましょう。
さとゆずSATOYUZU
株式会社キャスターで、採用支援事業「CASTER BIZ 採用」のWebマーケティングと『Alternative Work』の運営を担当しています。私生活ではECサイトの運営など。週3日働き、他の日は好きなことをやっています。3歳の娘に翻弄される日々を送っています。