昨今話題を呼んでいる「〇〇代行」サービス。例えば勤務先の企業に退職意思を伝える「退職代行」、企業がマネージャーをアウトソーシングする「上司代行」などなど。注目される背景やアウトソーシングするメリットをまとめました。

利用者が増加。「退職代行」活用の実態

サービスが登場した時、大きな驚きとともに話題を呼んだ「退職代行」。勤め先の会社を辞めたいが言い出せない／辞められないという人が、外部の代行サービスを通して会社に退職の意思を伝えるというものです。

マイナビの調査（※1）によると、23.2％の企業が「2024年1～6月に退職代行サービスを利用して退職した人がいた」と回答。多くの人が退職代行を使っていることがわかります。

退職代行を使った理由は、「退職を引き留められた（引き留められそうだ）から」（40.7％）、「自分から退職を言い出せる環境でないから」（32.4％）、「退職を伝えた後トラブルになりそうだから」（23.7％）など。退職する意思は固いものの、職場環境や雰囲気などの問題で言い出せない、言い出しづらい人たちが活用していることがわかります。

※1マイナビ「退職代行サービスに関する調査レポート(2024年)」

上司も代行？背景にマネジメントの負担増

「退職代行」は個人が活用しているサービスですが、企業が活用する代行としては「上司代行」も注目されているサービスの1つです。その名前の通り上司を代行するサービスで、外部のプロフェッショナルが「上司」としてメンバーの育成やマネジメント、組織づくりを行います。

上司代行が注目される背景には、各業界で人手不足が深刻になっているうえ、「管理職になりたくない」と考える人が増えていることがあります。日本能率協会マネジメントセンターの調査（※2）によれば、一般社員の約77.3%が「管理職になりたくない」と回答しています。

マネジメントの負担増から、管理職はもはや憧れの対象ではなくなり、“罰ゲーム”とさえ言われるようになりました。管理職を目指す人が減っているなか、上司代行を活用すれば、マネジメントのプロフェッショナルの力を借りながら人手不足を緩和できます。

ほかにもメリットはあります。たとえば、外部の人材ならではの新しい価値観や発想、ノウハウを社内に取り入れ、組織の活性化につながります。また、社内の利害関係や人間関係にとらわれない客観的な立場だからこそ、部下が指示や指導を聞き入れやすいこともあるでしょう。

※2日本能率協会マネジメントセンター「管理職の実態に関するアンケート調査」

企業がアウトソーシングを使う3つのメリット

個人からも組織からも、広く注目されている「〇〇代行」サービス。このほかにも、ビジネスシーンではさまざまな業務がアウトソーシングされています。

一般的によくアウトソーシングされる職種は、経理や総務、採用などのバックオフィス部門、営業、マーケティング、ITなど。単に業務の一部を切り出すだけでなく、限られた社内のリソースをより本質的な業務に使いながら、外部のプロフェッショナルのノウハウを取り入れる目的で活用する企業が多く見られます。

企業がアウトソーシングを使うメリットは、大きく分けて3つあります。

1つは、業務効率化です。アウトソーシングを導入する場合、その前に業務を棚卸しして、外部に出せる業務とそうでない業務を分ける必要があります。その過程で業務の無駄が可視化され、効率化が進みます。

2つめは、即戦力を確保できることです。アウトソーシングでお願いする人材は、その分野のプロフェッショナルたち。安心して任せられるクオリティであるうえ、対応も迅速です。採用をせずに対応範囲を広げられるため、時間やコストを抑えながらビジネスを拡大することにもつながります。

3つめは、社員のエンゲージメントアップです。アウトソーシングの導入は、社員が“ノンコア業務”やルーティンワークを手放すことにもつながります。その分生産性が上がり、アウトソーシングの活用を通して、組織づくりに向き合う姿勢や帰属意識が高まる効果も期待できるでしょう。

あらゆる分野で使われているアウトソーシングサービス。うまく活用すれば、組織とビジネスの両面に大きなメリットが生まれます。

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