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フルリモート企業が実践する「新入社員マネジメント」3つの工夫

2023/04/11 Tuesday
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新入社員を迎え入れる会社も多い新年度。新入社員とのコミュニケーションを意識する教育担当者やマネージャーも多いのではないでしょうか。特にリモートワーク環境では、相手の状況が見えにくいことから「どのようにコミュニケーションを取るのが正解なのか分からない」という声も多く見られます。

従業員800人以上がフルリモートワークで働く株式会社キャスターでは、新入社員教育を担当する「HRD(Human Resource Development)」という職種があります。今回は、HRDとして働く小浦幸穂さんに、新入社員とコミュニケーションを取る際に工夫していることを3つうかがいました。

CASTER BIZ recruiting

IT系企業を中心に累計500社を超える企業の採用業務を支援する採用代行サービス。採用戦略の立案から、スカウト・エージェント対応などの母集団形成、応募者対応まで一連の採用業務を請け負います。人事担当者の業務を激減させ、採用を“自動化”するサービスです。

「理想の働き方は人それぞれ」が大前提

以前の記事「リモートワークにおける新入社員の「お悩みあるある」5選と解決策」でもご紹介したとおり、たとえリモートワークであっても、求める働き方は人それぞれ。「相手の気持ちを予測するのではなく、『どんなコミュニケーションが心地よいか』とシンプルにヒアリングすることが第一歩です」と小浦さんは語ります。

「特に、教育担当者やマネージャーという立場でコミュニケーションを考えるときに大事なのは、『選択肢を用意する』という姿勢。ウェットなコミュニケーションを求める人もいれば、雑談は最小限で必要なコミュニケーションに留める方がやり易いという人もいます。それぞれに合ったコミュニケーション方法を取れるよう、複数の選択肢を用意しておきましょう」(小浦さん)

では、具体的にはどのような選択肢を作っておくと良いのでしょうか。

小浦さんが所属する「 CASTER BIZ recruiting 」事業部(企業の採用業務を代行するサービス)での実践例をもとに、明日から実践できる工夫を紹介していきましょう。

ご機嫌に見えるテキスト表現の工夫

リモートワークで重大な役割を果たすのが、テキストコミュニケーション。ビジネスチャットやメールをはじめ、文字ベースのコミュニケーションが基本となります。

キャスターでは、前提として「テキストコミュニケーションでは空気を読まない(予測しない)」ことを推奨しています。視覚的に相手が見えない状況で行間を読んだり意図を汲み取ったりすることは、誤解や疑心暗鬼に繋がりかねないからです。

しかし、リモートワークに慣れていない新入社員に対しては、教育担当者やマネージャー側から歩み寄ることも必要です。

テキスト上で明るく楽しそうな雰囲気が伝わるよう心がけています。『この人と一緒に働きたいな』と思われることは重要ですよね。冷たい印象にならないように、私は絵文字やスタンプ、『!』などをフル活用して、いつもご機嫌に見えるよう工夫しています」(小浦さん)

それぞれが求めるコミュニケーションスタイルにもよりますが、“やってほしいことだけをテキストで送る”業務連絡的なやり方はマイナスになることも。

「新入社員の中には、テキストコミュニケーションに慣れていない人もいます。Slackで発言したり、スタンプを押したりするのが緊張するという人も。そういう人には、目的・意図・背景などを一言添えて伝えた方が安心に繋がるのでおすすめです」(小浦さん)

また、新入社員が入社すると、小浦さんはSlack上でその人の名前を入れたオリジナルスタンプを作っているのだとか。

「オフィスワークでは入社挨拶などの際に歓迎の気持ちを表すことができますが、リモートワークではそういった対面での機会がない分、スタンプなどの工夫で『Welcome感』を出しています。さらに、私の部署ではメンバー同士があだ名で呼び合う文化も。テキストコミュニケーションにおいても、呼び方1つで親しみが増します」(小浦さん)

スタンプだけでも即レスする意識

もう1つ教育担当者やマネージャーが心がけるべきは、クイックレスポンス(即レス)

普段キャスターでは、リモートワークは非同期なコミュニケーションであることから「即レスを求めない」ことを推奨しています。しかし、新入社員とコミュニケーションを取る際には違った心構えが必要な場合もあります。

新入社員がSlackに投稿しているのに気づいたら、その場ですぐに返事をするか、難しい場合はスタンプなどで何かしらの反応を残すようにしましょう。

「新入社員に対して『あなたの投稿、ちゃんと見ているよ』というのが伝わるように心がけています。リモートワークでは相手の忙しさや雰囲気がわかりにくく、誰からもリアクションがないと最初は不安になってしまいます。たとえば、Slackの投稿にスタンプを押すだけなら5秒でできるので、私は自分の作業をいったん止めてでも、必ず何かしらリアクションするようにしています」(小浦さん)

このように、リモートワークに不慣れな人に寄り添えるよう対応や工夫がされています。

チャット内に居場所を作る工夫

キャスターでは、HRD1人ひとりがSlackに自分と担当する新入社員3〜4名のチャンネルを用意していて、ある程度クローズドな場でカジュアルに会話しています。小規模なルームなので、他のチャンネルでは遠慮してしまうような小さなことも、気軽に書きやすいそう。

「新入社員とのコミュニケーションにおいて意識しているのは、部署全体でコミュニケーションを取るというよりは、HRDと担当する数名の小規模なチーム内で会話できるようにすることです。リアルなオフィスでも、数十人いるメンバーが全員で一緒に雑談するというシーンはほぼありえませんよね。オフィスを再現するという意味でも、数人で会話するのが自然な形だと思います」(小浦さん)

それ以外にも、コミュニケーションを主目的にしているチャンネルもあります。たとえば「クエスチョンチャンネル」では、そのとき自分が困っていること、わからないでいることを投稿すると、誰かが必ず返事を返してくれるよう運営されています。

さらに、業務とは関係ないトークテーマごとに作られた“部活”チャンネルも。「ペット」や「旅行」、「美容」など、興味のある人同士が話しやすい環境を作っています。

人によって心地よいコミュニケーションはそれぞれですが、新しい環境に移ったばかりの新入社員に寄り添う工夫が多数見られました。

新年度はまだ始まったばかり。まずは、明日から始められる簡単なことから試してみてはいかがでしょうか。

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さくら もえMOE SAKURA

出版社の広告ディレクターとして働きながら、パラレルキャリアとしてWeb媒体の編集・記事のライティングを手掛ける。主なテーマは「働き方、キャリア、ライフスタイル、ジェンダー」。趣味はJリーグ観戦と美術館めぐり。仙台の街と人、「男はつらいよ」シリーズが大好き。ずんだもちときりたんぽをこよなく愛する。