働き方に関する調査・分析・研究を行うラボ「Alternative Work Lab」所長・石倉秀明による定期記事。
今回は、これからの時代に会社から評価される管理職に共通する能力について考えます。
昇進する管理職に共通する能力とは
管理職というポジションは、責任が重く仕事もハードで大変な側面が大きい一方で、自分の裁量で大事な取引を決められるなどやりがいも大きいポジションであるのは間違いありません。しかし、プレイヤーでいた時のように自分の成果ははっきりしないこともあり、会社からどう評価されているのかが気になる管理職は多いのではないでしょうか。
私はここ10年ほど会社経営の立場におり、管理職の登用や抜擢などを含め、管理職を評価してきました。その経験から、会社から評価される管理職とそうでない管理職にある能力の違いについて書いていきたいと思います。
企業が管理職に求めるものはたくさん存在します。もちろん、任せている部署に課しているミッションや目標達成は最重要ですし、チームマネジメントが円滑であることも大事です。しかし、係長・課長・部長・本部長・執行役員などと役職が上がるにつれ、会社内でのポジションの数は減っていきます。
つまり、課長全員を部長に上げるということはできず、選抜をしていくことになります。その選抜に残れるかそうではないかで管理職としてどこまで昇進できるかは変わってきます。私も数百名の管理職を見てきましたが、その中で順調に昇進していく管理職には共通して優れている能力があります。
それは、部下を適切な仕事にアサインする能力です。
部下をアサインする際に求められる3つのこと
一見当たり前に感じるかもしれませんが、部下を適切な仕事にアサインするのは非常に難しく、複数の能力が高い水準で求められます。ここでは大きく3つについて考えます。
まず、部下のスキルを正確に見極められることが重要です。
例えば、目標ややり方が決まっていて、一人でタスクを進める仕事であればどんどん仕事を進めて目標を達成できる部下Aさんがいるとします。しかし、Aさんは事業や部署の戦略に合わせて一から自分で施策や企画を考える場面になると、途端にパフォーマンスが上がりません。そのような部下がいた場合、いくらその部下がチーム内で経験豊富だとしても、企画立案が重要な仕事にアサインしたらおそらく成果は出ません。それが続けばその部下の評価も下がってしまうでしょうし、周囲からも期待されにくくなってしまうかもしれません。
部下の能力適性を見誤ることはその部下の今後のキャリアに大きな影響を与えかねません。
次に、任せる仕事ごとの特徴やその仕事で成果を出すために必要な能力などを把握していなければなりません。
部下の能力を把握できたとしても、それに適した仕事がどれかを理解しマッチングできなければ、結局部下は能力を発揮できないことになります。
最後に、部下にとって心地良い難易度を把握する必要があります。
例えば、部下のBさんは自分のできることを増やしたいが、いきなり仕事の難易度が上がってしまうとストレスに感じてしまう可能性があるとします。そういうタイプの部下には今までよりも少しだけ難易度が高い仕事を任せたり、今まではフィードバックしていた仕事を自分で決めてもらったりなど、少しだけ背伸びをしたアサインメントをすることが必要になります。
このように3つをしっかりと把握し、それぞれをうまくマッチングすることが求められます。
時代に伴うマネジメントの変化
経済学や経営学の研究でも、上司が部下のキャリアに与える影響についてはかなり多くの研究がされてきています。共通して言われているのは、会社から高く評価されている優秀な上司がいる部下は昇進確率も高くなり、生涯の収入も数%〜10%程度高くなるということです。これにはいくつかの要因があるとされていますが、その中でも最も重要な示唆は、優秀な上司は部下の能力や適性を見極め、その部下が最もパフォーマンスを発揮できる仕事にアサインする能力が高いことが、ゆくゆくの部下のキャリアに良影響を与えていると言われています。
今まで多くの日本企業では、マネジメントは「管理」の側面が強く、部下が指示されたことをしっかりやっているかを監視し、できていなければコミュニケーションを取ったり、時には叱咤激励などをしながら決められたことを決められた通りにやらせる、いわゆる「行動のマネジメント」が中心でした。
しかし、これからの時代に結果を出し続け、会社から高く評価され続けるのは、部下の能力と、その部下が最も力を発揮できる仕事をうまくマッチングさせることで、成果を最大化する能力が高い上司とされています。これは拙著『キャリフィット』にも書きましたが、仕事の成果というのは能力とそれを発揮する場所の掛け算で決まります。この掛け算は転職の場面だけではなく、もちろん社内や部署、チーム内で仕事を誰に割り振るかという場面でも同じく重要な要素です。
もし、管理職として働いていて、チームや部署でうまく成果が出ない部下がいたら、まずはその部下の能力や適性は何かをじっくりと観察し、その能力や特性が最も活かせる仕事にアサインし直すところから始めてみてはいかがでしょうか。
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石倉 秀明HIDEAKI ISHIKURA
働き方に関する調査・分析・研究を行うAlternative Work Lab所長。慶應義塾大学大学院政策メディア研究科修士課程在籍。『Live News α』(フジテレビ系列)、『ABEMAヒルズ』(ABEMA)コメンテーターや『ダイヤモンド・オンライン』での連載、書籍執筆などの活動も行う。著書に『会社には行かない』『コミュ力なんていらない』『THE FORMAT』等。
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