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注目される「AIエージェント」。生成AIとの違い、ビジネス可能性は?

2025/02/25 Tuesday
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2025年1月23日、OpenAIから発表された「Operator」(オペレーター)。「Operator」はこれまでの生成AIとは異なる、AIエージェントです。

本記事では「Operator」の機能に加え、そもそもAIエージェントとは何なのか、活用メリット、ビジネスにおける可能性についてまとめました。

人間の代わりにタスクをこなす「Operator」

「Operator」は、AIがブラウザを操作して自動でタスクを行うAIエージェントで、2025年1月23日にOpenAIから発表されました。チャットやコンテンツ生成を行う従来の生成AIとは異なり、指示されたタスクを把握し、実践するという点が画期的です。GPT-4oを基盤にした新しいモデル「CUA」によって動作しています。例えば、商品を検索して購入したり、レストランの予約をしたりという作業を、ユーザーの代わりにOperatorが行うことができます。

なお、AIエージェントサービスは、2024年までにGoogleやMicrosoft、Salesforceなどが発表してきました。2024年12月にGoogleが発表したAIエージェント「Google Agentspace」は、企業内のデータにつなぐことで一部の業務を軽減することができます。

こうした動きに続いて発表されたのがOperator。現在は最上位プラン「ChatGPT Pro」(月額200ドル)に加入しているアメリカ在住ユーザー向けの機能ですが、いずれ対象が広がると見込まれています。

食料品配達サービスの「Instacart」やオンラインチケット販売の「StubHub」、デリバリーサービスの「DoorDash」、AP通信、ロイター、Uberなどとも連携。ユーザーの好みや習慣に合わせてパーソナライズもできるので、普段の自分と限りなく近い選択やアクションを期待できます。

そもそも、AIエージェントとは?生成AIとの違い

ChatGPTが話題になって以降、生成AIはぐっと身近なものになりました。そんななか、生成AIに次いで注目を集めているのが「AIエージェント」です。

AIエージェントは、「AIやデバイスを活用し、ユーザーが指定したゴールに向かって情報を収集し、判断し、実際にタスクを遂行する」システムを指します。例えば、チャットボットやバーチャルアシスタント、マーケティング支援、自動運転などがAIエージェントの例とされています。

AIエージェントも生成AIも、自然言語を使ってユーザーと自然なコミュニケーションをする「人工知能」の1つですが、決定的な違いはAIエージェントがタスクの「意思決定」と「実行」を自律的に行える点です。

生成AIは、大量の学習データを基にテキストや画像などのコンテンツを生成することに特化していて、新しいものを生み出す創造性が特徴です。一方、AIエージェントは指示されたタスクを完遂するために情報を処理し、自律的に判断、行動します。単なるデータの生成ではなく、目標達成のために実際にアクションを起こすことがAIエージェントの特徴といえます。

なお、Exa Enterprise AIの調査(※)では、53.5%の人が「AIエージェントに関心がある」と回答しています。最新テクノロジーが注目されるなかでも、AIエージェントは高い興味関心を集めていることがわかります。

※Exa Enterprise AI「生成AIの利用実態調査

AIエージェントの「3つの特徴」

AIの進化を次世代レベルに引き上げようとしているAIエージェント。その特徴を3つに分けて解説します。

人間の指示なしに自律的に判断し、行動する

上記のとおり、タスクを達成するための意思決定や判断を、人間の指示なしで自律的に行えるのがAIエージェントの特徴です。1つひとつの作業を判断したり指示したりする必要がないため、ユーザーは一連の作業をまるごと依頼できます。

過去のタスクから学習する(機械学習)

過去のデータを基に学習し、自らのパフォーマンスを上げていくのもAIエージェントの強みです。生成AIと同じく、継続して使うことで機械学習によって精度が上がっていきます。今後ユーザー数とデータ量、ユースケースが増えれば、いずれはあらゆるタスクを人間と同等以上のレベルでこなせるようになりそうです。

データの変化にも臨機応変に適応できる

環境の変化を察知してスムーズに適応できるのも、AIエージェントの強みです。リアルタイムで刻々と変わるデータに合わせて、臨機応変に決断しパフォーマンスを最適化します。例えば、条件分岐するような複雑なタスクや、複数のタスクが同時並行する場合も、状況に応じて優先順位をつけてこなすことができます。

ビジネスにおけるAIエージェントの可能性

AIエージェントは従来の業務自動化ツールとしての枠を超え、さまざまなビジネス分野との連携を通じて新たな価値を創出するポテンシャルを秘めています。3つの視点から、その可能性を考えます。

SaaSとの掛け合わせ

現代の業務環境では、多くの企業がSaaSツールを活用しています。AIエージェントとSaaSの連携により、以下のようなメリットが期待できます。

リアルタイムでのデータ連携と自動化:SaaSツールからのデータをAIエージェントが即時に処理し、業務プロセスの自動化や意思決定の迅速化を期待できます

業務フローの最適化:各種クラウドサービスとの統合により、部門横断的な業務プロセスを再設計し、効率的な運用が可能です

新たなサービスモデルの構築:データを活用したサービス提供が進むなか、AIエージェントを組み込んだ次世代SaaSソリューションが市場での強みにつながります

IoTとの掛け合わせ

AIエージェントは、IoTとの連携によっても大きな可能性を秘めています。

スマートオペレーションの実現:工場や物流センターなど、IoTセンサーが稼働する現場で、AIエージェントがデータをリアルタイムに分析。異常検知やメンテナンス予測など、運用効率と安全性の向上を期待できます

顧客体験の革新:小売やサービス業では、IoT機器を通じた顧客行動の追跡と、AIエージェントによるパーソナライズされた対応が可能です

新規ビジネスモデルの構築:IoTと連携したAIエージェントが収集・分析する膨大なデータを基に、予知保全、スマートシティ、ヘルスケアなど、さまざまな分野で革新的なサービス展開が可能です

BPOとの掛け合わせ

外部の専門家に業務を委託するBPOは、効率性や質の向上を目的に広く採用されています。
AIエージェントとBPOの連携によるさまざまな可能性も期待できます。

業務プロセスの可視化と最適化:AIエージェントがBPO業務の各プロセスをモニタリングし、データに基づく改善提案が可能

迅速な対応と柔軟な改善:顧客対応などのタスクにおいて、AIエージェントがリアルタイムでパフォーマンスを分析。運用フローやマニュアルの見直しに活用できます

連携基準の新たな指標:委託先選定時に「AIエージェント活用の有無」が新たな評価基準となりえます

SaaS、IoT、BPOのような多様なビジネス領域と連携することで、AIエージェント単独では実現し得ない相乗効果を生み出すことが期待されます。

本メディア『Alternative Work』を運営するキャスターでは、生成AIプラットフォーム「Dify」を活用したAIエージェント制作代行サービスを提供しています。ご相談は、以下よりお問い合わせください。

https://bpo.cast-er.com/form2/

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さくら もえMOE SAKURA

出版社の広告ディレクターとして働きながら、パラレルキャリアとしてWeb媒体の編集・記事のライティングを手掛ける。主なテーマは「働き方、キャリア、ライフスタイル、ジェンダー」。趣味はJリーグ観戦と美術館めぐり。仙台の街と人、「男はつらいよ」シリーズが大好き。ずんだもちときりたんぽをこよなく愛する。

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