企業が候補者に直接アプローチする、ダイレクトリクルーティング。導入している企業が増えていますが、中途採用だけではなく新卒採用でも有効な手段として注目されています。
本記事では、新卒採用でもダイレクトリクルーティングが有効や理由と、新卒採用だから気をつけるべきポイントをまとめました。
25卒の新卒採用の動向予測
近年、優秀な人材を早い段階で獲得したいという企業側の意向から、早期選考が進んでいる傾向にあります。
特に2023年は、2025年卒業見込み(以下、25卒)の学生を対象に「採用直結型インターンシップ」(一定条件を満たすと、企業側はインターンで得た学生の評価を採用選考に生かせる)が解禁されたことで、企業と学生の早期接点が生まれ、新卒採用の早期化がますます強まると考えられます。
採用広報の開始は2024年3月とされていますが、「広報解禁日前の2023年内には内定出しを開始する」企業が約20%もある、という報告もあります。
2020年以降、コロナ禍で新卒採用を一時停止していた企業も、アフターコロナの景気回復を見込んで、新卒採用を再開する動きが見られます。また、今まで新卒採用をしていなかった企業が新たに採用を開始したり、新卒採用していた企業も採用数を増やす見込みで、実際に、24卒採用は企業側の採用計画が前年比21.6%増となりました。
デジタル化の需要が高まるIT業界においては、エンジニア職の採用数を前年よりも増やす動きも見られます。
労働力不足が懸念される昨今、企業よりも学生が有利な「売り手市場」では、これまでと同じアプローチでは採用できないケースが増えてくるでしょう。なかでも、企業が最も悩むポイントは「母集団(エントリー数)の不足」と言われています。数ある企業の中から自社を認知してもらい、エントリーに繋げる、一連のプロセスが大きな鍵となりそうです。
新卒もダイレクトリクルーティングが有効な理由
ダイレクトリクルーティング(Direct Recruiting)とは、企業が第三者を介さず候補者に直接アプローチする採用手法を指します。
これまで新卒採用の主な採用手法は、掲載型の求人媒体を通じてアプローチする「待ちの採用」が一般的でした。それに対してダイレクトリクルーティングは、企業が気になる学生に直接アプローチする「攻めの採用」を可能にします。
中途採用では多く利用されているダイレクトリクルーティングですが、ここ数年のうちに新卒採用に特化したさまざまなサービスが生まれ、導入する企業が急速に増えています。
1.これまで出会えなかった学生層にアプローチできる
採用競争が激化している現在、学生からのエントリーをただ待っているだけでは良い人材と出会うことはできません。
ダイレクトリクルーティングなら、求める人材にピンポイントでアプローチでき、自社のことを知ってもらうためのアクションを主体的に行えます。
また、企業と学生が1対1でコミュニケーションをとれるので、会社や事業のことをより深く知ってもらうことにもつながります。
2.マッチ度を高め、採用コストを抑えることができる
掲載型の求人媒体では、多くの学生の目に触れるために広告費に多くのコストを割かなければなりません。また、ミスマッチのエントリーが多く採用決定まで至らなかったり、コストをかけても採用目標を達成できなかったりする場合があります。
一方、ダイレクトリクルーティングなら、自社にマッチする学生に直接スカウトを送ることができ、学生側も興味関心のある企業へエントリーできるため、ミスマッチによる選考辞退・内定辞退を防ぐことができます。よって、1人採用するために必要なコストを下げることも期待できます。
3.オンラインかつ非同期で、企業も学生も効率よく活動できる
コロナ禍の影響で、オフラインの説明会やセミナーは減少しました。
しかし、ダイレクトリクルーティングはオンラインで企業の魅力をアピールできるため、遠方の大学へわざわざ足を運ばずとも、優秀な学生へ効率的にアプローチできます。
もちろん、海外留学中の学生と接点を持つことも可能です。
ダイレクトリクルーティングは今後さらに拡大し、スタンダードな採用手法となることが予測されます。25卒の採用は、ダイレクトリクルーティングなしでは成功できないといっても過言ではないでしょう。
今から準備しよう。新卒だからこそ、気にすべきポイント
新卒採用でも活用が進んでいるダイレクトリクルーティングですが、新卒だからこそ気にするべきポイントもあります。大きなポイントを3つにまとめました。
①早期に準備を始めよう
他社に先がけて早めのスタートを切れば、さまざまな学生にアプローチするチャンスが生まれます。
企業から内定をもらうと、多くの学生は就職活動を終えていきます。場合によっては、1社でも内定をもらうと就職活動を終えてしまう学生もいるため、活動開始が遅れるとアプローチできる学生の幅は徐々に狭まってしまいます。
早期にスタートを切ることで、エントリーの質と量を確保しましょう。
②自社の強みやビジョンを明確にし、学生目線でアプローチ
学生がエントリーする動機づけとして、自社の魅力を言語化し、伝えられるようにしましょう。
具体的には、「自社の強みは何か」「一緒にどのような事業やビジョンを実現していきたいか」「どのような教育体制やキャリアパスがあるのか」などが挙げられます。
学生にとって魅力に映るポイントは何かを考え、数ある企業の中から「就職先として興味がある」企業として認知してもらいましょう。就業経験のない学生にとって、「この会社ならこんな活躍ができる。こんな未来が描ける」というイメージができると、エントリーに繋がりやすくなります。
③ターゲットを絞り込みすぎない
アプローチする学生の可能性を狭めすぎないこともポイントです。
初めは自社に興味を持ってエントリーしてもらうことをゴールに置き、学生の「伸びしろ」を見つける姿勢で臨みましょう。
よく見られるケースでは、学生自身も就職活動の軸が定まっていなかったり、世の中にどんな会社や仕事があって、自身は何がやりたいのか考えながら活動していたりすることが多々あります。
多角的な視点で多くの学生にアプローチし、自社の求める人材にマッチするかどうかを判断していきましょう。
25卒の新卒採用を検討中であれば、ぜひ早期に準備を始めてみてはいかがでしょうか。攻めの採用活動で、これまで出会えなかった学生にぜひ振り向いてもらいましょう。
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梅沢阿紗子ASAKO UMEZAWA
設立5年目のITベンチャーに新卒1期生として入社し、約30社のベンチャー/成長企業に対して社内情報システム業務の支援を行う。パートナーの地方転勤に伴い、株式会社キャスターへ入社。カスタマーサクセスに従事したのち、現在は事業部長としてスタートアップ/SMB企業の採用プロジェクトを運営。「HRのスタンダードをアップデートする」というミッションの実現を目指す。