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freeeが本屋を開業する狙いは文化の醸成とソーシャルR&D!?

2023/04/26 Wednesday
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クラウド会計ソフトなどを運営するfreee社が書店運営を開始しました。
参照記事:https://www.fnn.jp/articles/-/517330

これはいわゆるドッグフーディング、そして研究開発の新しい形なのではないかと思います。

ドッグフーディングというのは、従業員自ら自社のサービスを使い倒すことでそこから得たことや気づきをもとに改善していく製品開発のことです。

freee会計ソフトの主な顧客は中小企業ですが、freee社の従業員のほとんどは中小企業経営の経験があるわけではないでしょう。だからこそ、今回の透明書店のような中小企業を自分たちでつくり、ある意味社員が強制的にドッグフーディングしないといけない環境を作る意思決定をしたのではないかと思います。

会社としてそれだけドッグフーディング、つまり自分達で自社のサービスを使い倒すことの大切さを社内に示すメッセージとしても有効だと感じます。また、こういった目に見える行動からの積み重ねを通してドッグフーディングを大切にし続ける文化の醸成が目的にあるようにも解釈できます。

そしてこれは、研究開発、つまりR&Dとして捉えても面白い取り組みだと言えるでしょう。

例えば、書店経営の中でChatGPTやAIなどの技術を取り入れて業務を効率化したり、顧客に付加価値を提供できるようになれば、それをそのままfreeeの何十万といるであろう中小企業の顧客にノウハウ提供できるようになります。

中小企業である透明書店の規模で試されたことは、freeeの顧客にとって、そのまま真似しやすいはずです。

本来、自社のために研究開発を行うわけですが、今回の取り組みは、すべての中小企業が業務の効率化やDX化を進めるためのR&D。言葉を換えるなら、ソーシャルなR&Dとも言えるのではないかと思います。

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※この記事は、2023年4月時点の情報をもとに執筆しております。

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石倉 秀明HIDEAKI ISHIKURA

働き方に関する調査・分析・研究を行うAlternative Work Lab所長。慶應義塾大学大学院政策メディア研究科修士課程在籍。『Live News α』(フジテレビ系列)、『ABEMAヒルズ』(ABEMA)コメンテーターや『ダイヤモンド・オンライン』での連載、書籍執筆などの活動も行う。著書に『会社には行かない』『コミュ力なんていらない』『THE FORMAT』等。