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人は増やせない、でも仕事はある。はどう解決できるのか

2024/05/15 Wednesday
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教員の働き方改革の必要性が叫ばれて久しいですが、つい先日このような報道が出ました。

参照記事:https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240513/k10014447571000.html

記事にある通り、教員の働き方に関しては「給特法」と呼ばれる法律で規定されており、どんなに働いても月8時間分に相当する残業代しか支給されないというものです。それゆえ、先生の仕事は「定額働かせ放題」とも言われています。

今回、その残業分を2.5倍にしようと動いているのですが、それでも月20時間分です。一般企業で言えば、固定残業代が月20時間分含まれていて、それ以上は残業しても残業代は出ない、とされているのと同じです。

今回の議論では、勤務間インターバル、つまり前日の終業時間から次の日の勤務開始時間を11時間以上空けることも議論されていますが、これがどこまで守られるのかわかりません。教師の仕事は授業以外にも事務作業もあれば、運動会や保護者会対応などさまざまです。結果として深夜や土日などの勤務も少なくないのではないかと想像される中で、どこまで働き方が改善されるかについては未知数なところも大きいと思われます。

教員の働き方を変えるために、専任教科制(英語や数学を専門の先生が教えること)の導入や、支援スタッフの導入などが検討されていますが、根本的な課題は、教育現場に対しての予算の少なさが要因です。一般企業に例えると、人件費は一切上げないけど売上は増やせ、仕事は減らないと言われている状態と同じで、そのような状況の中小企業も少なくないのではないかと思います。

今後日本各地で「人は増やせない、でも仕事は増える」という状況はどこにでも起こります。予算を増やす、は根本的な対策ですが、それができない会社も多いはずです。その中で働く人を守るために何ができるか、を考える上で、教員の働き方は他人事ではないのだと思います。

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※この記事は、2024年5月時点の情報をもとに執筆しております。

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石倉 秀明HIDEAKI ISHIKURA

働き方に関する調査・分析・研究を行うAlternative Work Lab所長。慶應義塾大学大学院政策メディア研究科修士課程在籍。『Live News α』(フジテレビ系列)、『ABEMAヒルズ』(ABEMA)コメンテーターや『ダイヤモンド・オンライン』での連載、書籍執筆などの活動も行う。著書に『会社には行かない』『コミュ力なんていらない』『THE FORMAT』等。