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先日、三井住友海上が「いいね!」の数で採用を決める、というニュースがありました。
参照記事:https://www.fnn.jp/articles/-/612445
一般的なSNSではなく、応募してきた学生と三井住友海上の社員がdiscordに集まり、そこで社内の議論や事業アイディアなどのプロジェクトを一緒に行う中での「いいね」数を評価するようです。「いいね!」が多かった人を採用と聞くと、一見、人気投票のように見えますが実態は違い、これはある意味では”実力採用”に完全に振り切った取り組みだと言えます。
今回、社員と学生が同じツールを使い、共通の議題に対して議論をしますが、ツールに招待された人しかグループに入れない仕組みになっています。
つまりネタ的に面白い投稿をできたか、知らない人にウケるか、ではなく、本当に周囲が納得した意見や、周囲にとって有益だったり、貢献した人に「いいね!」が集まるということ。しかも、活動の中で発言などがすべて残るので、誰がどのくらい活動に貢献したかなどが見えやすいのも利点です。
かつ、学校名や性別などもわからない状態なので、明らかに評価は発言内容に左右される実力勝負と言えます。今回のこの形式で採用される学生がいた場合、新規事業などを行う部署への配属を予定しているようなので、なおさらそういった力がある学生を見極めようとしているのかもしれません。
今回の選抜方法は、入社した後にやる仕事と同じように、自分が伝えたいことや考えを周囲に理解してもらえるように伝えるコミュニケーション能力や、考えをわかりやすくまとめる力などが見える選抜方法です。ただし、本当にこの形の選考だけで、あらゆる能力が高い人が採用できるわけではありません。
今回のやり方だと、議論したり意見を言ったり、考えを人に伝えるのが上手い人が高い評価につながりますが、そういうことが得意ではない優秀な人材も存在します。
今回のように、実力勝負で採用するのであれば、いろいろな能力の人が採用できるように、他にも多様な選考手法を考えたり、それを組み合わせて人材を見つけていくということも大事になるのではないでしょうか。
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※この記事は、2023年11月時点の情報をもとに執筆しております。
石倉 秀明HIDEAKI ISHIKURA
働き方に関する調査・分析・研究を行うAlternative Work Lab所長。慶應義塾大学大学院政策メディア研究科修士課程在籍。『Live News α』(フジテレビ系列)、『ABEMAヒルズ』(ABEMA)コメンテーターや『ダイヤモンド・オンライン』での連載、書籍執筆などの活動も行う。著書に『会社には行かない』『コミュ力なんていらない』『THE FORMAT』等。