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会社員であれば頻度に関わらず、会社からの評価・査定を受けることはあると思います。評価がよく給与アップすればいいですが、それが自分の希望や思っていた評価と異なることもあるかもしれません。
実際、管理職の約4割が人事評価が原因で部下が退職していると感じている、という以下のような調査も存在します。
参照記事:https://news.yahoo.co.jp/articles/2573fcbdea48e4b5a110b9a15deb4e86f9ddcb28
この記事の中に以下のような記載があります。
自身の部下を人事評価する際、「全社で統一された基準に基づき、公正に評価できている」という人は42.5%。一方「自分自身の持つ評価軸に基づき公正に評価できている」25.3%と、会社の基準とは別に主観的な評価を行っている人たちも存在しています。
残念ながら経済学、経営学の研究では上司がバイアスなく部下を評価するのは難しいという研究が多いです。例えば、昨年発表された研究ではタバコを吸う上司とタバコを吸う部下の組み合わせになった場合、タバコを吸わない部下に比べ、タバコを吸う部下は7%ポイントほども昇給しやすいというものがありました。
しかも、これは男性上司と男性部下にしか起きないこともわかっており、男性は「よく話す人」「一緒にいる時間が長い人」をより高く評価してしまうバイアスが強いことも示唆されています。
このような現象を「近接性バイアス」と言いますが、バイアスや主観から逃れることはできません。しかし、それは評価をされる部下からすると不満になりやすく、この記事のように退職リスクも伴います。
だからこそ、「自分はバイアスはない」「正当に評価している」と感じている人ほど、自分はどんな人をどんな理由で高く評価しているのか、それを裏付ける行動はあるのかなど、なるべく客観的なファクトや根拠に基づいて評価できているのか、再度振り返る必要があるのだと思います。
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※この記事は、2024年11月時点の情報をもとに執筆しております。
石倉 秀明HIDEAKI ISHIKURA
働き方に関する調査・分析・研究を行うAlternative Work Lab所長。慶應義塾大学大学院政策メディア研究科修士課程在籍。『Live News α』(フジテレビ系列)、『ABEMAヒルズ』(ABEMA)コメンテーターや『ダイヤモンド・オンライン』での連載、書籍執筆などの活動も行う。著書に『会社には行かない』『コミュ力なんていらない』『THE FORMAT』等。