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2023年に続き、2024年も賃上げのムードは続いています。春闘を控え、多くの大企業が今年度の賃上げ水準について言及していますが、なかなか中小企業や非正規については上がりにくいまま、という状況が続いています。
そんな中でこのようなニュースが出ました。
参照記事:https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC081QG0Y4A200C2000000/
非正規の人たちで構成される労働組合「合同労働組合」は、10%以上の賃上げを雇用主に対して求め、それが実現されない場合はストも辞さないと発表しています。
記事にも書いているように賃上げは進んでいますが、各社差があります。中でも人手不足が深刻なサービス業、運送、介護などはそのビジネスモデルからも賃上げを行うことは容易ではありません。
しかし、このような現場を支えているのは非正規雇用の人たちで、この人たちがいないと事業は成立しません。それなのに、非正規社員たちが賃上げしないとストを行うという動きになっているのは非常に大きな出来事です。
非正規社員たちがストを起こしたり、ストをしないまでも賃金が要因で転職してしまうと、人手不足の業界は途端に立ち入らなくなってしまいます。
つまり非正規社員の人たちの「立場」は非常に強くなっており、これは今まで弱い立場と思われていた非正規の人たちこそ、賃上げムードかつ人手不足の時代において発言力、影響力が強くなっているということです。
このように、賃上げをしないと他にいかれてしまう、サービスが運営できない、という状態になれば企業は賃上げをせざるを得ません。そしてその流れが良いサイクルとして回れば日本全体の働く人の給与の底上げに繋がります。
現場の労働者が賃上げを要求し、それが実現されなければ事業が成立しないという、欧米で起こっているような動きが日本でもさらに広がるのか、は注目です。
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※この記事は、2024年3月時点の情報をもとに執筆しております。
石倉 秀明HIDEAKI ISHIKURA
働き方に関する調査・分析・研究を行うAlternative Work Lab所長。慶應義塾大学大学院政策メディア研究科修士課程在籍。『Live News α』(フジテレビ系列)、『ABEMAヒルズ』(ABEMA)コメンテーターや『ダイヤモンド・オンライン』での連載、書籍執筆などの活動も行う。著書に『会社には行かない』『コミュ力なんていらない』『THE FORMAT』等。