米IBMはリモートワークを続ける管理職に対してオフィスの近くに転居することを求め、それに従わない場合は、辞職するべしと迫ったというニュースがあります。
参照記事:https://shikiho.toyokeizai.net/news/0/731120
これまでにもアメリカでは、Meta、ヤフー、Zoomなど多くのTech企業がリモートワークから出社回帰の流れをここ1-2年で見せています。それだけを見ると「リモートワークはやはり難しいのか」「アメリカのTech企業でも出社に戻している」と捉えがちですが、その事象のみではなく、もう少し時系列的、そしてマクロ的に見てみたいと思います。
まずマクロ的にみてみると、アメリカ全体でのリモートワーク率に関してはほぼこの1-2年変わっておらず、約30%前後で推移しています。
情報参照元:https://x.com/I_Am_NickBloom/status/1729557222424731894?s=20
この投稿主のNick Bloomはスタンフォード教授ですが、15年以上リモートワーク研究をしている第一人者で、彼の研究や毎月統計として政府から出ているデータからもリモートワーク率が減少している兆候は見られないようです。つまり「出社回帰」はない、ということです。
次に、時系列的にいきます。
この1-2年で「出社に戻す」もしくは「リモートワーク率を減らす」と宣言したTech企業は、ほぼ全てその数ヶ月後に大規模はレイオフを行なっています。つまり、リモートワークから出社に戻す宣言をすることで、それであれば退社するという人には辞めてもらい、その後さらに本格的なレイオフを行う、という流れが一般化しており、レイオフ施策の一環と言えるでしょう。
今後、リモートワークから出社に戻すというメッセージを見た際には、企業のその後の動向やマクロ的な動きも合わせて見ていくと全体像が掴めるかもしれません。
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※この記事は、2024年1月時点の情報をもとに執筆しております。
石倉 秀明HIDEAKI ISHIKURA
働き方に関する調査・分析・研究を行うAlternative Work Lab所長。慶應義塾大学大学院政策メディア研究科修士課程在籍。『Live News α』(フジテレビ系列)、『ABEMAヒルズ』(ABEMA)コメンテーターや『ダイヤモンド・オンライン』での連載、書籍執筆などの活動も行う。著書に『会社には行かない』『コミュ力なんていらない』『THE FORMAT』等。